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メテルキナ/ベルラワ組が2連覇を達成!アイスダンスはタリ/ラフォルナラ組がイタリア人ペアとして初制覇!| ISU世界ジュニアフィギュアスケート選手権2025 ペア&アイスダンス レビュー
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部圧巻の2連覇を決めたメテルキナ/ベルラワ組
◎ペア
圧倒的な2連覇。すでにシニアとして2年連続ヨーロッパ選手権表彰台に乗り、昨年末にはGPファイナルでも日本の「りくりゅう」組に次ぐ3位に入ったアナスタシア・メテルキナ/ルカ・ベルラワ(ジョージア)が、2位に26.95点差をつけて、2025年世界ジュニアフィギュアスケート選手権を勝ち取った。
2人がジュニアとして試合を戦うのは、前回のワールドジュニア以来、ちょうど1年ぶり。もちろんショートプログラム(SP)では、今季のジュニア課題に従って、スロージャンプは3回転サルコウを、ソロジャンプは2回転アクセルを難なくクリアした。普段のシニア大会でより基礎点の高いエレメンツ(スローで3回転フリップ、ソロで3回転サルコウ)を取り入れている同組には、余裕さえ感じられた。
リフトが1つ少なくなったことを除けば、すべてシニアと同じ構成で挑んだフリースケーティング(FS)では、パーフェクトとはいかなかった。3連続ジャンプで、男女それぞれに、ほんの小さなミスがあった。ただそれ以外のエレメンツは、レベル、出来栄え点(GOE)ともに高い数字が並んだ。
技術点はもちろん、演技構成点(PCS)でも他の追随を許さなかった。SP「サマータイム」では、2位チームが6点台後半にとどまる中、「コンポジション」と「プレゼンテーション」の2項目で8点超えという凄まじさ。
SP1位69.18点、FS1位121.83点と高得点を並べ、トータル191.01点でメテルキナ/ベルラワ組は連覇を果たした。また2022年に別パートナーと今大会を制したベルラワにとっては、3度目の世界ジュニア制覇だった。
「今日の勝利を嬉しく思います。とても気分がいいです。タイトル防衛に成功したことには満足していますが、FSは理想通りにはいきませんでした。この先の自分たちが、何に取り組む必要があるのかは分かっています。でも秘策なんてありません。ひたすら、いつもと変わらずに、真剣に練習を続けていくだけです」(ベルラワ)
2位のソフィア・ホリチェンコ/アルテム・ダレンスキー(ウクライナ)は、20歳と23歳にして挑んだ初めてのジュニアワールドで、自信につながるメダルを持ち帰った。結成以来5シーズンにわたってシニア大会に専念し、すでに大人の世界選も2度経験してきた2人だからこその、完成度の高い演技を披露。やはりFSのコンビネーションジャンプのミスが悔やまれたが、高く力強いスローは圧巻そのものだった。
マルティナ・アリアノ・ケント/シャルリー・ラリベルテ・ローラン(カナダ)は、苦しかったシーズンの終わりの、嬉しい銅メダル。昨春に男性側が右肩関節を痛め、手術と6ヶ月のリハビリを余儀なくされ、ようやく試合復帰を果たせたのは今年1月だった。どうしても右肩に負担がかかるデススパイラルだけは、両プログラムともにレベルを大きく落としたが、それ以外はSPはノーミスで、FSも最小限のミスでまとめ上げた。
今季のジュニアGPファイナル覇者ジャン・ジアシュアン/ファン・イーハン(中国)は、SPで3位につけたが、6分間練習中の転倒が響いたか、FSでは女性が3度転倒。最終的に5位に後退した。
日本の清水咲衣/本田ルーカス剛史は、11位終了。SPではスロージャンプで転倒があった。実力派シングルスケーターでもある2人は、FSでは参加カップルの中で最も難度の高い3連続ジャンプを組み込んだが、完全に成功させることは出来なかった。それでも1年前の初出場時より順位は3つ、得点は26点以上も伸ばし、世界の大舞台で着実な成長をアピールした。
(残念ながら4月末にカップル解消を発表。今後は清水選手はシングルに専念し、本田選手はペアを続行していくとのこと)
ジュニアのアイスダンス歴代最高得点を記録したタリ/ラフォルナラ組
◎アイスダンス
本人たちにとって、シンプルにイタリアフィギュアスケート界にとって、世界ジュニアで初めての金メダル。ジュニアGPファイナルではイタリアのアイスダンスカップルとして史上初制覇を達成したノエミ・マリア・タリ/ノア・ラフォルナラが、またひとつ記録を打ち立てた。
「これ以上ないほどに幸せです。両プログラムともにクリーンにこなせただけでなく、歴史を作ったのですから。数年前には、今こうしてここにいるなんて、想像すらしていませんでした。本当に最高の気分です」(タリ)
リズムダンス(RD)のビージーズメドレーは、まばゆい夢のようだった。鮮やかなスピードに乗って、スケールの大きなパフォーマンスを実現。エッジワークの正確さには定評が高く、パターンダンスのキーポイントはシーズン序盤からたくさんのY(Yes)を並べてきた同組だが、今大会でもYYYY/YNYYとほぼパーフェクト!
ひとつの楽曲で、ひとつの物語をしっとりと描き上げるフリーダンス(FD)「ラヴストーリー」は、すべてがよどみなく流れるように進んだ。伸びのあるスケーティングに、つま先まで意識がこめられたエレメンツ。結成2シーズン目とは思えないほど近い足元に、美しいユニゾン。
今シーズン全戦全勝の快進撃を続けてきた2人の目標は、プログラムの「完成形」を披露することだった。RD70.92点、FD106.58点と、2本のパーソナルベスト(PB)を揃え――いずれも技術点・演技構成点両方で自己ベスト更新――、見事に念願を果たした。
「僕らは完成形を見せたかったんです。これこそが僕らのプログラムなのだ、と。このプログラムにふさわしい評価をもたらしたいと願っていましたし、僕らは、それをやり遂げられたと感じています」(ラフォルナラ)
総合得点の177.50点も、もちろんPBであり、ジュニアの
アイスダンスにおいては歴代最高得点でもあった。ジュニアとして臨んだ最後の試合で、タリ/ラフォルナラ組は自らの名をしっかりと歴史に刻みつけた。
「ついにステップを上がる時が来ました。来季シニアに上がることにワクワクしています。新しい章の始まりで。できるだけ最高の形で、その一歩を踏み出したいと願っています」(タリ)
2位にはカタリナ・ウォルフコスティン/ディミトリー・ツァレフスキー(アメリカ)は、今大会も女性側の力強く安定した技術力と、男性側の頼もしいサポート力とが光った。昨季すでにシニアとして活動していたせいで、エレメンツ数の少ないジュニア大会での得点更新はならなかったものの、FDはPBに迫るシーズンベスト。今季あえてジュニアに下がることで、実績(ジュニア出場全体会での表彰台)と名声をこつこつ積み上げたからこその、PCSの伸びが大きかった。
ダルヤ・グリム/ミハイル・サヴィツキ(ドイツ)は2年連続の世界ジュニア銅メダル。2度のコーチ変更、練習拠点の複数移動、RD変更……とストレスの多かったシーズンを、納得の笑顔で締めくくった。身体表現の高さと、独特の存在感とは一層磨きがかかり、総合点では1年前に出したPBをさらに2点以上も更新し、たしかな進化を証明した。上位2組と同様に、ドイツ組も来季は本格シニア転向が待っている。
上位5組はジュニアGPファイナルと完全に同じ順位で並び、つまり4位にはイリナ・ピドガイナ/アルテム・コヴァル(ウクライナ)が、5位にはセリーナ・フラジ/ジャンアンス・フルノー(フランス)が続いた。
岸本彩良/田村篤彦(日本)は、息のあったユニゾンとスピード感ある演技で、RDでは最高にキュートな魅力を振りまいた。FDはハードに、かっこよく。ジュニアと言えども経験豊富なカップルが数多く出場する中で――上位5組の今季国際大会出場数は平均5.6試合――、今季の国際大会はジュニアGP2戦のみという「さらあつ」にとって、決して簡単ではなかったはずだ。それでも世界16位で、堂々と、2度目の世界ジュニアを終えた。
(残念ながら3月末にカップル解消を発表。両選手ともに新しいパートナーを探し、今後も競技を続行していくとのこと)
J SPORTS 編集部
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