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先制攻撃を成功させたのは東海大だ。
エリア脱出のキックを受けた東海大SO浦本明惟がハイパント。FB黒澤航希が相手捕球後にタックルを見舞い、早稲田大がシーリングの反則。
ここから左コーナーに入った東海大。他の部員が見守る目の前でモールを組むと、FW・BKのギャップへ向けて茗溪学園高出身のHO川村航平が突進。身体をねじ込み、敵地・上井草で先制トライを奪った。
東海大はスクラムでも序盤からプレッシャーをかける。PR星田知裕、HO川村、PR杉浦皓亮を最前列に並べてヒットから優勢模様となるスクラムもあった。
一方の早稲田大は敵陣22mアタックをハンドリングエラーなどで得点に変えられずにいたが、前半19分に守備の切れ目を捉えた好キャリアー、CTB黒川和音がステップからゴール下へ。一本を返して7-5と逆転した。
均衡が崩れていったのは前半20分以降だ。
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東海大は中盤スクラムから3フェーズ目で、CTB古屋健太朗が内返しで目論見通りのラインブレイク。しかし直後のパスを早稲田大のFB池本晴人がインターセプト。
昨季主力の3年生、FB池本は広い視野でランナーを探し、WTB西浦岳優のトライを演出。東海大はインターセプトから簡単に2本目を失った。(14-5)
この日の東海大は、早稲田大の細かなタックルスキルもあり得点機でハンドリングエラーが多発。一方でボールキープの早稲田大は、ラック最後尾からのピック&ゴーなどから2連続トライ(前半27、29分)。(28-5)
細部にこだわったアタックでトライを連取する早稲田大と、取りきれない東海大。しかし前半31分だ。
リスタート直後のキックオフで、早稲田大がノックフォワードのオフサイド。ここからようやく敵陣22mに入った。
するとモールを組んでじわり前進。モールを離れての突進は一度止められたが、直後にFL張剛士がラック脇を急襲。瞬時のキャリー選択でチーム2本目を切り取った。
関東大学春季交流大会2025 Aグループ(5月11日)
【ハイライト動画】早稲田大学 vs. 東海大学
ゴール成功で16点差(12―28)に詰め寄った東海大は、堅実なプレーを遂行すればスコアできるという自信を得ただろう。
直後のディフェンスもフィジカル勝負で負けず、PR杉浦皓亮がボールスティール。前半35分にはキックゲームにも勝ち自陣を脱出するなど、粘り強さも随所で見せた。
すると東海大は、エリア中盤でのディフェンスで、この日効果的だったボールへのタックル。攻守交代を起こすとカウンター。前半36分にWTB小池椋太がトライエリアまで独走してチーム3本目を奪った。(28-17)
9点差まで迫った東海大だが、前半最後にディフェンスの不整備を早稲田大に突破されHO清水健伸がフィニッシュ。前半は18点ビハインド(17-35)で終えた。
この日の両軍の差は、ブレイクダウンのプレー精度だったか。
後半も早稲田大は、的確なブレイクダウンワークでテンポを刻んだ。
前掛かりの激しいキャリー、セカンドマンによる正しい位置からの瞬時のボールセキュリティ…。目を見張る「細部」の連続でアタックが加速していく。
すると後半2分、敵陣ラインアウトから3フェーズ目でCTB金子礼人がFW間を突破。SH糸瀬がタイミングを見計らったフォローランからパスを受け、電光石火のトライを決めた。(42-17)
早稲田大がアタックで得点する一方、東海大はブレイクダウンの制圧を続けられずに相手FL野島信太郎にボールスティールを許す。ここからモールで後半2本目を浴びてしまう。
東海大は後半12分に50:50のパスが通ってSO浦本がゴール前に迫るが、早稲田大WTB鈴木寛大が腕に手をかけるディフェンス。早稲田大は「細部」のスキルが随所で光った。
早稲田大の鮮烈なトライは、CTB黒川が締めくくった後半23分の一本だ。
敵陣右ラインアウトから順目へ連続攻撃。ボールを下げず複数人が接点に仕掛け、次々にゲインを切る。
東海大もスティールを狙うが、ブレイクダウンの素早い制圧速度によりテンポが止まらない。フル出場した早稲田大のSH糸瀬真周は出色の働き。的確なパスと積極性でテンポを維持すると、最後は自身で持ち出し、CTB黒川のチーム9トライ目を演出した。
しかし東海大も反撃。
相手ハイパントからのカウンターでWTB野口柊が走りきり、チーム4本目を返す。被1トライ後の後半36分には、好タックルを繰り返していたCTB古屋健太朗が突破して独走トライ。このとき早稲田大は直前ラックに人数が寄ってしまい守備対応が遅れていた。
この日最後のトライは、スクラムが起点だった。
序盤からスクラムで奮闘していた東海大だが、フロントロー中心にフォワードが数名入れ替わっていた最終盤、早稲田大がスクラムでトライを奪った。
早稲田大はHO田中健心、PR杉本安伊朗、PR新井瑛大という主力級のフロントローを並べ、ゴール前スクラムでプレッシャー。ヒットから食い込み、低く押し込んで会心のスクラム・トライ。
奪ったトライは「11」。早稲田大が73-29で無傷の3連勝。
早稲田大は同日行われたB戦においても、早稲田Bが東海大Bに78-28で快勝。ほぼ同じスコアで大勝し、現時点では総合力で東海大を上回る結果を残した。
春季大会における早稲田大の次戦は「早明戦」。一か月以上空いた6月8日(日)に岐阜・長良川で、永遠のライバル・明治大学とぶつかる。
東海大はハンドリングエラーが多く、アタックの遂行力は今後の課題に。ディフェンスのコネクションが切れる場面も修正が必要だろう。自軍のポゼッションを高めるゲームメイクも見たかったところだ。
一方で東海大はラグビーの基礎部分であるセットプレーで大きな差は感じられず、敵陣22mに入ってのFW勝負では力強かった。
さらなる成長が期待される東海大はこれで1勝1敗。
次戦は2週間後の5月25日(日)、大学5連覇を狙う帝京大学に胸を借りる。スクラムやコリジョン(衝突)で大学最強を掲げる王者に、いまのすべてをぶつけたい。
文: 多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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