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サイクル ロードレース コラム 2025年6月18日

【輪生相談】自動車の逆走が社会問題となってる今、この問題に合わせて自転車の逆走についても広まって欲しいと思います。自転車逆走についてのルールを知る機会がないのが問題だと思いますが、栗村さんはこの件はどのように考えていらっしゃいますか?

輪生相談 by 栗村 修
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ヘルメット着用義務化の実現はあまり進んでないように感じますが、これは努力義務という形ではこの現象でも仕方なく、想定内のような感じがします。それよりも、私が気になるのは車道を逆走する自転車の多さです。おそらくその人達は、自転車は歩道ではなく車道を走るという意識改革でできたものの、どちら側を走るべきなのか意識してない方が多いように思えます。ほとんどの方が、危険な逆走をしていることを認識してないように思います。自動車の逆走が社会問題となってる今、この問題に合わせて自転車の逆走についても広まって欲しいと思います。自転車逆走についてのルールを知る機会がないのが問題だと思いますが、栗村さんはこの件はどのように考えていらっしゃいますか?

(男性 自営業)

■栗村さんからの回答

栗村さん

ご指摘の点は、今後の日本での自転車にとって、とても重要なテーマです。僕自身も、2026年4月施行予定の「自転車青切符制度に関する官民連携協議会」に参加していて、個人的にも大変注目しています。

まず、日本では自転車が車両ではなく、歩行者の延長線上にあるように思われていて、それが問題の根本にあります。スポーツバイクに乗るみなさんはよくご存じのように、自転車は「軽車両」、つまり車両ですよね。

しかし、戦後の日本では自転車が非常に独特な位置づけをされてしまい、その結果、自転車の存在があいまいになって、さまざまな道路交通法違反が黙認されてきました。

ところが、クルマによる死亡事故が大きく減ってきている中で、自転車の事故はそれほど減っておらず、結果として目立つ存在となってしまったのです。

2026年4月には「自転車青切符制度」がはじまる予定です。今までは、自転車の違反行為に対しては赤切符しかなく、それが取り締まりを難しくしてしまう要因になっていたのですが、その一歩手前の青切符を導入して処分に軽重を用意することで、クルマの反則金制度と同じように、メリハリある取り締まりが可能となります。

そして質問者さんが挙げてくれた逆走は、信号無視や一時停止違反と同じように青切符や赤切符の対象になりますから、これからは積極的に取り締まられるでしょう。自転車運転時の道路交通法を知らずに逆走を繰り返してきた人たちにも、本来のルールが周知されることが期待されます。

それと、本来は例外的であるはずの自転車の歩道通行も取り締まりの対象となるため、歩道上での歩行者と自転車の事故も減少すると期待されます。

もちろん、厳格化にともない色々なトラブルは生じるでしょう。でも、日本での自転車の地位を上げるためには、このプロセスは避けて通れないと僕は思っています。これからは今までのように「自由気まま」に逆走したり、歩道上を縫うように走る自転車は減り、車両としての自覚を求められる時代に切り替わってくるでしょう。

それと、自転車が安全かつスムーズに走行できる車道の整備や、ルールについての教育の強化も必要です。これまで手軽だった自転車利用が難しくなることへの不満は想定されますが、自転車が歩行者の命を危険にさらす乗り物であってはならないのも事実です。統計上、自転車事故の多くは歩道上や住宅地の交差点など、「歩行者感覚」で走るときに起きていて、車道を車両として道交法を守って走行している場合の事故はむしろ少ないことが示されていることは、もっと知られてほしいですね。

青切符制度が、日本人の自転車についての価値観を変える起爆剤になる可能性は、大いにあります。期待しましょう。

青切符制度が自転車についての価値観を変える起爆剤になるよう期待

文:栗村 修・佐藤 喬

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栗村 修

中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。

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