人気ランキング
コラム一覧
混合ダブルスで圧倒的な強さをみせる渡辺/松友ペア
五輪メダリストに、若き日本代表が挑む。バドミントンの日本ランキングサーキットは、最終日となる5月24日に各種目の決勝戦を行う。混合ダブルスでは、五輪2大会連続銅メダルの渡辺勇大(J-POWER)と、2016年リオデジャネイロ五輪女子ダブルス金メダルの松友美佐紀(東京都協会)のペアが、圧倒的な強さで勝ち上がっている。決勝戦では、現役の日本代表ペアである西大輝(BIPROGY)/佐藤灯(ACT SAIKYO)と対戦する。
五輪メダルペアへの挑戦者、西/佐藤は「当たって砕けろ」
渡辺/松友は、やはり強い。大会前の調整は40分ほどしかできなかったというが、決勝まで、1ゲームも落とさず圧倒的な勝ち上がりを見せている。準決勝では、男子ダブルスの元日本代表である古賀輝(ジェイテクト)と今井優歩(ほねごり相模原)のペアに第1ゲームの前半こそ10-11でリードを許したが、後半は相手に1点しか取らせずに21-12。第2ゲームは、21-3で圧倒した。渡辺は「競った場面でも焦らなかったのが良かった」と涼しい表情で試合を振り返った。シャトルを拾う能力や、打つ球のクオリティーが高いだけではない。瞬時に相手の弱点を見つけて勝ちパターンを確立する能力の高さも別格。相手に試合の流れを渡さない。
渡辺/松友ペアに挑む西/佐藤ペア
彼らに挑む、西/佐藤は、龍谷大出身のペアで社会人1年目と2年目の若いペアだ。佐藤が社会人になった2023年から日本B代表に入り、所属チームが異なっても活動を続けてきた。西は、大会初日から渡辺/松友の勝ち上がりを信じて疑わなかったが、予想通りの決勝カードを迎えるにあたり「相手は、経験値がはるかに上の人たち。当たって砕けろという感じで、どれだけ通用するか。挑戦者だし、向かって行くだけ。思い切ってプレー出来ればいい」と意気込んだ。相手のペアは、25年は日本代表の肩書きが外れたが、渡辺は選出辞退によるもので、松友もパートナーの引退によるもの。どちらも日本代表主力級の力を持つ選手。今後の成長が期待される若い現役代表ペアが、五輪メダリストペアにどこまで食い下がり、存在感を見せられるかが、この種目の見どころとなる。
中西/五十嵐に挑む、鈴木/山北「代表に入りたい一心」で番狂わせ狙う
実績に優る中西/五十嵐ペア
女子ダブルスでも、渡辺とともに混合ダブルスで五輪2大会連続の銅メダルを獲得した五十嵐(旧姓:東野)有紗が、女子ダブルス日本代表の中西貴映(ともにBIPROGY)と組むペアが順当に勝ち上がった。序盤は戦い方が安定せずに苦しい場面も見られたが、日を追うごとに安定。準々決勝は、混合ダブルスで日本代表の齋藤夏(PLENTY GLOBAL LINX)と、今井優歩(ほねごり相模原)が組むペアに2-1で勝利。第2ゲームの後半を攻め急いで1-1に追いつかれる反省点は残ったが、第3ゲームは終始リードを保って勝利を収めた。中西が後衛から精力的に強打を打ち、スピードのある五十嵐が前衛で返球を捕まえる必勝パターンを多く作れれば、勝利の可能性は高い。
闘志あふれるプレーが持ち味の鈴木/山北ペア
彼女たちに挑むのは、鈴木陽向/山北奈緒(NTT東日本)。3月にベトナムで行われた国際大会から組み始めたばかりだが、準々決勝で日本代表経験者の櫻本絢子/関野里真(ヨネックス)に終盤の大逆転で勝利。準決勝でも保原彩夏/廣上瑠依(ヨネックス)の日本代表経験者ペアに競り勝ち、決勝に駒を進めた。まだ連係面の経験値は浅いが、ともに闘志あふれるプレーが持ち味。日本B代表の経験がある鈴木は「日本代表に入りたい一心でやっている」と話した。19歳の山北は、決勝に向けて「相手の2人は、これから私が目指すべき姿の選手。こちらにとって良い場面は少ないと思うけど、その中でも何か得られるものがあると思うし、そこ(今、強い選手)に勝たなければ上には行けない。2人で勝ちに行きたい」と食らいつく姿勢を示した。勝てば、代表入りへ大きなアピールとなる。接戦になれば、実績に優る中西/五十嵐にプレッシャーがかかり、番狂わせの可能性も生まれるが、どうなるか。
男子単:プロ転向で3度目V狙う古賀か、代表復帰目指す大林か
プロに転向した古賀穂
男子シングルスは、古賀穂(AC長野パルセイロ)と大林拓真(トナミ運輸)が対戦する。古賀は、21年と23年にこの大会を制しており、3度目の優勝を狙う。名門のNTT東日本を退団し、今季からプロに転向。自力でスポンサーを集めて活動する。選手としての価値を高める意味でも、プロになってから初の国内大会でタイトルを獲得したいところだ。特に試合中のチェンジオブペースが上手く、少しずつ主導権を奪う戦いに長けている。一方の大林は、昨季まで日本B代表。代表復帰を狙う立場だ。強靭な肉体を生かした、パワフルなアタックが持ち味。パワー勝負一辺倒では、古賀のペースに巻き込まれる。付き合うところと、勝負を仕掛けるところの使い分けが鍵になりそうだ。プレースタイルの異なる2人のどちらが試合を支配するか、興味深い対戦だ。
女子単と男子複は、ベテラン対若手の対決
同種目出場最年長の古川佳奈
女子シングルスと男子ダブルスは、ベテランと若手の対決になる。女子シングルスは、同種目の出場最年長30歳の古川佳奈(岐阜Bluvic)と、昨年まで日本B代表に入っていた水津愛美(ACT SAIKYO)が激突。古川は、粘りのプレーが身上。じっくりとラリーを展開し、好機をつかんで攻撃に転じる。準決勝では第1Gで14-20から8連続得点でひっくり返すなど、試合の流れをコントロールするのも巧みだ。一方の水津は、スピードが武器。2月に所属先のACT SAIKYOが行った韓国遠征で、同種目のパリ五輪金メダリストであるアン・セヨンから指導を受ける機会を得て、試合中のスピードの使い方を改善。準決勝では、日本代表の郡司莉子(再春館製薬所)に完勝した。メリハリをつけたフットワークによる攻撃で相手が落ち着いたコントロールができない状況に持ち込めるかどうか。
男子ダブルスは、男子ダブルスの決勝戦は、松居圭一郎/玉手勝輝(日立情報通信エンジニアリング)に小川航汰/永渕雄大(ジェイテクト)が挑む格好だ。松居は、元日本A代表で、21年に竹内義憲とのペアでこの大会を優勝している。玉手はB代表の経験者。このペアは、昨季のS/Jリーグでも活躍しており、安定感がある。対する小川/永渕は、大卒社会人の2年目、1年目の若手ペア。ともに比較的小柄だが、低く沈める球を有効活用し、ショートラリーに持ち込む。後方に高い球を打たれて強打を誘われても、あえて「ゆっくり」と声をかけて長距離ショットのラリーには持ち込まないなど、戦い方も巧みだ。松居/玉手も運動量のあるペア。この大会の最終試合となるが、最もスピード感のあるラリーの応酬になりそうだ。
文:平野貴也
平野 貴也
1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。
あわせて読みたい
J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題
ジャンル一覧
人気ランキング(オンデマンド番組)
-
バドミントン ワールドツアー インドネシアオープン 2025 決勝
6月9日 午前10:55〜
-
バドミントン ワールドツアー インドネシアオープン 2025 1回戦
6月10日 午前11:00〜
-
【先行】バドミントン ワールドツアー シンガポールオープン 2025 決勝
6月1日 午後2:55〜
-
バドミントン ワールドツアー インドネシアオープン 2025 準々決勝
6月12日 午前11:00〜
-
5月24日 午前9:55〜
-
バドミントン ワールドツアー インドネシアオープン 2025 2回戦
6月11日 午前11:00〜
-
【先行】バドミントン ワールドツアー シンガポールオープン 2025 準々決勝
5月30日 午後3:55〜
-
【先行】バドミントン ワールドツアー シンガポールオープン 2025 準決勝
5月31日 午後3:55〜
オンラインショップ人気アイテム
J SPORTSで
バドミントンを応援しよう!